幽体離脱とは?

 人が睡眠に入ってゆくとき、徐々に意識が消えてゆき、時には入眠時幻覚・幻聴などがあらわれますが、やがて気絶の睡眠を迎えます。このプロセスは良く知られたものですが、実はもう一つ別のコースがあります。それは眠りに落ちる少し手前で、自分の肉体感覚が肉体から外れる体験が起きる事があるのです。肉体という服を脱ぐような感じで、それを脱いだ後も、自分は身体をもっています。睡眠に落ちて気絶したり、夢を見ているときは、自意識(自覚)が消えているものですが、肉体という服を脱いだときは、自意識があります。つまり肉体は寝ているが、その肉体を脱ぎ捨てた自分の意識は覚醒しているのです。そのとき自分はちゃんと肉体と同様の姿をしていて、手足を目で確認することができるし、自分の身体を自身で触り感じる事もできます。五感の感覚はすべて保有しています。そして目の前に脱ぎ捨てた本当の肉体が横たわっていて、それを客観的にながめる事ができます。自分の姿だけではなく、自分を取り巻いている周囲の部屋や景色まで、非常に鮮明かつどこまでも精密に見ることができ、しかもそれに触れる事ができます。畳の目一本一本を数える事ができますし、机の引き出しを開ければ、中身もしっかり入っているし、その中の万年筆を取り出して、ノートに落書きすることさえ可能です。

 臨死体験やその他偶発的にこのような経験をする人はいるのですが、それは多くの場合、一回こっきりの出来事なので、自分になにがおきたのか、はっきりと理解できずに終わる事が多いと思います。「横たわる肉体を見た」程度で終わってしまうのですが、実はそのとき先に説明したように、触れたり、ものを使ったりする行為すらできる、非常にリアルなものなのです。臨死体験者の多くが、肉体から離脱した経験を根拠に、死後の生がある事を確信したと報告しているようです。実際、自分が肉体の外に出ていて、ちゃんと人型を保ちつつ、目の前に横たわっている自分の姿を見るわけですから、「自分の自我意識は肉体から離れても存在しつづける事ができるのだ。魂の身体をもっていたのだ」と思うのは、自然といえば自然な発想でしょう。また離脱した際、多くの場合、心は落ち着いており、独特の多幸感に包まれている事も多く、どこか死後の生や不滅の命を直観的に悟らせるような、そういうリアリティに包まれているのも事実です。

このように自分の肉体感覚と自我意識が、肉体から剥離して独自に行動する経験、これを幽体離脱といいます。そのとき肉体の外に立っている自分の身体、これを幽体といいます。さて、ここで問題になるのが、幽体を取り巻いている世界はいったいどこなのかということです。幽体になって自分の部屋と自分の肉体を見たわけです。机の引き出しには、自分の持ち物が詰まっていました。それはまぎれもなく、我々が生活している物質の世界(物質界)と思えますが実のところ違うようです。引き出しを開けて、中から万年筆を取りだし、テーブルの上においたとします。と、そのとき、幽体は肉体に引っぱりもどされ、肉体の中で目覚めました。「さっきおいた万年筆はテーブルの上にあるのか?」というと無いのですね。引き出しの中に入ったままです。しかし万年筆をテーブルに置く経験をしている最中、普段の生活をしている時のリアリティと限りなく同じです。

あなたはこの文章を読んでいます。読んでるという自覚がありますよね。この文書はパソコン上でブラウズされているかもしれないし、紙に印刷したものを読んでるかもしれません。しかしちゃんと自覚をもって読んでますよね。で、次の瞬間、ふとんの中ではっと目を覚ますわけです。パソコンの電源はオフになってるし、印刷した紙もありません。でもさっきまで、確かに読んでいた。どう考えても夢じゃないと思うでしょう。それくらい現実感があるのです。けれど、幽体で経験した世界(たとえ自分の部屋であっても)と、肉体で経験する世界は別物のようなのです。だから幽体で経験する空間ないしは世界の事を幽界と呼ぶ事にします。

私は幽界は睡眠中に夢で見る空間と同じものだと思っています。しかし夢でそこに行くのと、幽体離脱で行くのでは雲泥の違いがあります。夢を見ているとき普通は自意識が働きません。催眠術にでもかかったかのように、ボーッと景観を眺めているような状態です。幽体離脱ではこちらの世界にいるときと同様、はっきりとさめた意識をもって、夢空間に入ります。そのときその空間は夢ではあっても夢とはいいきれないものがあります。なぜならその空間で意図して行為することができるからです。そしてこちらの世界で計画したこと(たとえば亡き人に会おうとか)を始め、あっちの世界に移行したら、その人の元に行く事も可能です(失敗に終わる事もありますが)。つまりこっちの世界とあっちの世界の往来の際、意識に連続性があるのです。これが通常の睡眠であれば、一旦気絶し、その後で夢を見ます。そして夢を見ているとき、自覚夢等を除き、通常は自意識が消滅しています。

幽体離脱は練習することによって、意図的にそれを行う事ができるようになります。臨死体験者が経験したあの世界を、何度でも往来し、その世界の仕組みを観察し、あの世界に住む様々な存在者たちと意志疎通を取る事もできます。亡き人、天使や悪魔、妖精、物の怪、異形の者たち、異星の意識存在とふれあう事もできます。自由に空を飛び、一瞬にして別の場所にテレポートし、壁をすり抜け、特殊なテレパシー言語で会話もできます。

繰り返しますが、眠りに落ちる直前、自我意識消滅の一歩手前に、気づかずにいるもう一つの出口があります。その出口は肉体を通じて認識する世界の外につながっています。 そこは心が住まう広がりと深さをもった多層構造の幽玄たる世界・・・幽界です。超感覚的世界の認識の獲得、第一歩です。

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