1989年

宇宙法則を教えてくれる少女 1月1日

何度も離脱を試みるがうまく行かない。諦めて寝ようとしたところ、振動が起こりキーンという甲高い耳鳴りがして離脱。窓を開けて外に出る。視力が働きだした。宙に浮き上がってみる。次に飛んでみた。空はいつものように青い。電線のところまで上昇したが、そこで落ちそうになるで電線につかまった。ゴムのようなビニールのような感触が手にあった。さらに上昇を試みるが、あまりうまくいかない。しょうがないので一旦に下に降りた。

そしてあたりを見回すと、景色が変わってしまっている。どこか砂漠の中にある町のような光景。日干しレンガで作った建物ばかり。そこで一人の少女に出会った。彼女はテレパシーで語りかけてきた。まるで自分を前から知っているかのようだった。私もどこかで知っているような気がしていた。彼女は「宇宙法則や幽界の統御方法を知りたいのね」と尋ねてくる。私は「そうだ」と答えると、彼女はその場にしゃがみこんで、指で砂の上に図形を描き始めた。私もしゃがみこんで、その図形をながめながら話を聞いた。円や三角形で構成される図形で、「この図形で説明すると、あなたが今いる座標はここ、それから次元転移を引き起こせる地点はここ、この転移を起こす地点に到達するためには、あなたの振動数をシフトさせないといけないから・・・云々。無限数存在する時間軸と空間に対して、意識体はそれ自身制約を受ける事はなく・・・云々」。という小難しい理論をテレパシーで一気にドバーァと私の頭の中に送り込んでくる。

私はそのとき彼女の言ってることが手に取るように分かって、「なるほどぉ!そういう事か。明確!」とかなり感激していたのだが、彼女は意味深げな言葉を言った。「でも時間がかかるわ。多分あなたはまだ理解できない」。

彼女にお礼を言って別れた。もうずいぶん長い事、肉体を離れている感じがしていた。いつもは勝手に引き戻されるのに、このときはまったくそれが起きないのだ。自分の家に戻ろうと思ったら、砂漠の町から自分の家の玄関の前まで戻ってきた。私は玄関から家の中に入り、階段を上がって自分の部屋に戻った。ふとんの上には自分の肉体が横たわっていて、私はそれをしげしげとながめた。普段ならここですぐに肉体に引き戻されるはずなのに、まったくその兆候が見あたらない。

自分の肉体の足に手を触れてみると、死体のように冷たい。もしかしたら死んでしまったのだろうかと思ったが、さりとてあわてるという事もなかった。だって自分はこの通り存在しているわけだし。しかし、まあ、試してみようと思い、自分の肉体におおいかぶさるように重なってみた。すると視界がブラックアウトして、肉体の眉間あたりから、小さな穴にすいこまれていくような感覚を覚え、そのあと肉体にもどったという感覚が蘇ってきた。少女に教わった法則図や幽界の統御法の知識を忘れないようにと頭の中で整理にかかったが、この時気がついた。おおよそ地上的な言葉で表現できるような知識ではなかったのだということを。無数の抽象概念によって構成された知識で、自分はその概念に相当する地上の言葉を知らないのだ。(当時の私の知識では手に余る代物だった)。非常に荒削りに断片的に翻訳するのが精一杯で、それをまとまった体系的な知識に再構成することができなかった。

また帰還後の気分は最悪で、一旦は目をあけたものの、恐ろしいほどの睡魔と疲れが襲ってきてそのまま昏睡した。目がさめてから、ここに書いたような経験内容は取り戻す事ができたが、少女に教わったエソテリックな知識は、復元することができなくなっていた。

トイレはすませておくに限る 3月14日

一時間ぐらいかかったのち離脱。抜け出す兆候がこなかったのだが、手を動かすと幽体の手が自由に動く状態になっていたので、そのまま幽体で寝返りを打つとともに、四つ足ではい出すように外に出た。そのままベランダまではっていった。

やはり外は青空だった。しかし外の景色は実際のそれとは異なっており、広い庭があり、木が立っている。冬の木で葉っぱ一枚ついていない。やねから飛び降りると、その木の枝に体が当たる感触があった。ひろい庭で地面には草がたくさん生えている。表通りに出ようとしたが、路地を走る間に引き戻されてしまった。短い路地なのだが、走っても走っても終わらない。肉体にはほとんど負担はかからなかった。トイレに行きたくて、いそいで駆け込んだ。実のところ尿意によって離脱が中断される事が非常に多い。離脱前にはかならずトイレをすませておいたほうが良いみたいだ。

ツバキトマトを食べる 5月3日

いつもの通り離脱。今回は引き戻す力も弱くかなり自由に行動できる。離脱して視力が働きだすと、どこか知らないマンションの一室にいた。この部屋は地上から五階くらいの高さにあり、その部屋には友人が暮らしていた。しかしその友人は、その部屋に住むのがあまり気にいっていないようで、生活の不便さをもらした。 窓をながめると、外には大きな巨木がそそりたっている。ベランダに出て下のほうを見ると、マンションのまわりには広大な畑が広がっていた。マンションは小高い山の上に建っていた。遠くには山々がつらなっている。時間は昼下がりの午後といった感じだった。 窓から飛んでみようかと思ったが、あまりに高く見えるので、万が一の事を考えると怖くてできなかった。あまりにリアリティがありすぎるからだ。

友人は紙飛行機をもってきて窓から飛ばした。一度なげると風に乗っていつまでもいつまでもそれは飛び続ける。友人は紙飛行機に夢中になってるようなので、私はそのまま別れを告げて部屋を出た。

部屋を出て階段を使って下に降りた。すると下界はいつもの自宅の近所。相違点は植物がみょうにたくさんおいしげっていること。普段は生えていない場所に、知らない植物がニョキニョキ生えている。しかもみんな花をつけている。紫や白い花があちこちに咲いている。目線をあちこち動かして周囲を観察すると、真っ赤なトマトのような実をつけているものがあった。葉っぱはツバキのようだが実はプチトマトのよう。

「どんな味がするんだろう?」そう思った私は一個むしって食べてみた。まったりとしてふくよかな香り、ジューシィーな果汁が口の中に広がった・・・などと書けるとウケがいいのかもしれないが、ガキのころ山の中で食べたラズベリーそっくりの味がした。甘みはあるのだけど、野生なので酸味も強い。見かけほどウマくはないなと思ったところで肉体に戻ってしまった。口の中にはほのかに味が残っていた。

幽界で不思議な絵を描く 8月12日

いつものように光体を作り乗り移る方法で離脱。視力はまったく働かず、またいつになく肉体感覚が希薄だった。めくらめっぽう動き回ると、触覚で部屋の様子がわかるのだが、実際の部屋とは幾分形が変わっているように感じる。やがて視力が働き出すと大阪の実家の部屋が見えたが、やがてどこか知らないアトリエのような部屋に変わった。
そこに出るとなぜか自分が画家になったような気がしてきて、いつのまにやらキャンバスに向かい絵の具で絵を描いている。それは恐竜の絵であったり、砂漠の光景であったりする。ほかにも動物や鳥たちの絵や、なにを描いているのかわからない抽象絵画のようなものもあった。

アトリエには自分の知人たち数人がいて、私の描く絵をみているのだが、彼らが私の絵をみると、一部分だけ塗り残されたように丸くぽっかりと空白になっている部分があるという。「なんでここだけ空白なの?」というような質問をしてくる。私がその絵をみると空白にはなっていないのだが、他の人が見るとそのように見えるのだそうだ。しかも同じ絵でも、見る人によって空白の位置が異なって見えるという。

知人の女性が「一度カラーコピーを取ってみよう」というので私は了解する。彼女は部屋にあるコピーマシンで、一枚選んだ絵をカラーコピーする。そのコピーしたものは、他の誰にでも完全な形で見えた。空白は見あたらないという。ところがオリジナルの絵は空白の部分があって、誰も完全な姿で見る事ができないようだった。

この不思議な絵に、自分も含めみんな驚いていて、「この絵を売ったらすごい値段で売れるかもしれないなあ」とみんなで話しあっていた。ここで引き戻されてしまった。

霊能力者が私を透視した時の事 8月14日

これは幽体離脱の経験談ではないが、あるパソコンネットのオフ会に参加した時の話。精神世界に興味のある人々のオフ会で、その席にネットで知り合った霊能者のY氏がいた。彼はその力を使って占い師もやっており、ネット上で無料で占ってくれるというので、以前、依頼したことがあった。彼いわく、私を透視すると二人いるように見える。普通の人を透視してもそんな人はいない。なぜ二人に見えるのか、さっぱり分からないという。私が幽体離脱能力をもっている事は、彼には一切話していなかった。

私は幽体離脱をする前に、光体を作るというやり方を使っている。これは最初はイメージ遊びにすぎないものだが、何度もそれを繰り返しているうちに、だんだんとリアリティが強まっていく性質があり、しまいには自分の体のすぐそばにそれがあるという感覚が生じてくる。もちろん他者の目に見えるものではないのだが。

魔術では光体はアストラル界に視覚化によって形成され、うち立てられるものとされている。Y氏はもしかしたらこの光体を、透視によって見たのかもしれない。

ごちゃまぜの町 10月13日

徹夜明けで帰宅し、朝方うとうとしていると、離脱の兆候が現れたので、そのまま離脱することにした。最初は肉体が引き戻す力がとても強く、四つんばいになって抵抗したり、出ては入ってを繰り返していたが、幽体からさらに二段離脱できると体が軽くなり自由になった。
今日は曇りの日だが、幽界は晴れ。空には実際より大きくみえる太陽、青い空、ちぎれ雲が少し浮いている。視界は秋の午後のよう。
町の景色を見ると、今までに自分が暮らした町を三つ足し会わせて三で割ったような、そんな光景が広がっている。町にはまったく人影がない。人っ子一人歩いていないし、車も自転車一台みあたらない。

突然引き戻されたが、戻る間にずいぶん長いこと宙を飛んでる感覚があった。ひっぱる力に身をゆだねて、暗闇の中をどんどん移動していくのだが、いつまでも肉体に戻らない。いつまでも飛んでいるので少し不安になってきたところで、肉体感覚が蘇ってきた。 帰還後、ヘソの当たりが痛んだ。しばらく肉体がしびれていて動けずにじっとしていた。

HOME